心の病気と向き合う方たちへのアートセラピー
牧村幸恵さん
愛知県
認定・色彩心理講師
色彩アートセラピスト
色を使うことで、幼い頃からどんなに気持ちが解放されてきたか…「色彩学校」で学ぶうちにそれを実感し、アートセラピーを仕事にしていこうと決めました。高齢者施設やカルチャーセンターで「日常生活でのメンタルケア」としてのぬり絵セラピーから始めましたが、ある時「メンタルホスピタル内デイケア」からアートセラピーの依頼が。主に統合失調症などの精神疾患の治療を終えたばかりの方たちにどのように接したらよいのか、正直戸惑いましたが「アートセラピーでできることはあるはず」と一歩踏み出しました。始めてみて驚いたのは、スタッフの方からの言葉でした。「他の作業では落ち着いて座っていられない方が、静かにぬり絵に取り組んでいる」「普段ダメ出しばかりの人が、『きれいだね』とほめ合っている」など。デイケアでの生活は、進行と回復を繰り返す心の病気と付き合いながらの毎日。1か月に一日、たった一時間ですが、何を描いても、何を使っても良い自己表現の時間があることが、患者さんの心の安定につながり、ぬり絵や表現が患者さんとスタッフをつなぐ「心の言葉」になりうるのだと実感しています。今後はこの活動を継続しつつ、患者さんの周辺にいる方たち(ご家族やデイケアスタッフ)のケアにアートセラピーを活かしていきたいと考えています。また、地元の活動者同士の交流の場づくりを行い、アートセラピーを地域に根付かせていきたいと思っています。