大学やカルチャーセンターでの講師、カウンセリングを中心に仕事をしています。
佐藤千恵さん
徳島県
認定・色彩心理講師
色彩心理カウンセラー
2012年9月にプレオープンした「保健農園ホテル フフ山梨」は、精神科医療機関と地元の有機栽培農家がタイアップし、積極的に心身の健康向上を目指そうと立ち上げた施設です。私はこれまで精神科医療機関などで心理職として勤務してきましたが、ストレスからうつ病などを発症し生活が破綻、薬に頼るしかない状況の人をたくさん見てきました。そこで痛感したのは予防が大事だということ。
このホテルではこれまでの臨床経験を活かし、予防的視点を核にホテル全体をコーディネートしています。幾つかの体験プログラムの中にアート療法を取り入れたのですが、その理由は、普段あまり使わないような感覚を刺激し、ストレス発散や自己洞察ができる。さらに、ストレス対処方法として持ち帰ることができると考えたからです。
体験したお客様からは、「自分の状態が理解できた」、「新しいことを始めるにあたり、自信がついた」などの感想をいただいています。もちろん自然環境の中という開放感、日常から離れたホテルという場所だからこそ、新しいことに取り組め、より自由な表現や気づきにつながるということもあるでしょう。日常に戻ってからも心身を健やかに保つためのきっかけ作りとして、これからもアート療法を活用していこうと思います。
2014年からは、大学で色彩アートセラピーのコースがスタートし、カリキュラムの作成など全部を任され、教えています。もともと「色彩学校」を修了してすぐにカルチャーセンターでカラーセラピーを教え始め、個人でカウンセリングも行ってきました。私自身が1枚のぬり絵を表現することで、どうにもならなかった負の感情を表に取り出すことができ心が楽になった経験から、色彩の力を実感したのがきっかけです。一般的にカウンセリングは言葉のみのやりとりで行いますが、カウンセリングに来られる方はじつは自分の問題をなかなか言葉にできない場合が少なくありません。その点、ぬり絵を導入することでクライアントさん自身が気づいていかれることが多いので、とても良い方法だと思います。
講座やカウンセリングで出会う一人ひとりの顧客満足をはかることがその人を元気にし、その元気は周りの人に影響し、ひいては社会全体を明るくする。それが私にできる社会貢献だと思っています。