総合病院の小児科でホスピタルプレイスペシャリスト(HPS)をしています。HPSは医療と関わる子ども達が、検査や治療について正しい情報を得て自分の意思で向き合い、力が発揮できその経験を肯定的にとらえられるよう支援する仕事です。
遊びをツールに、実物や写真、模型、映像なども使用しイメージが掴みやすい工夫をしています。子どもは遊ぶことによって理解し気持ちを整理したり、発散したり、成長発達し、他を受け入れられたりします。病棟内のプレイルームにはたくさんの本やおもちゃ、そして折り紙や絵の具、粘土などの画材を遊べるように用意しています。
「子どもアート療法士」を受講して自分自身がぬり絵を体験し、気軽に取り組めること、イメージをふくらませやすいこと、自由なこと、ひとつひとつ作品にじっくり取り組め気持ちが落ち着くことに気がつきました。
そこで病院にいる子ども達のために「病院ぬり絵」を作成しました。病院に行く場面から診察、検査、点滴、内服、退院まで全10ページの冊子です。使ってみると、子ども達は予想以上に大人の様子や医療物品などをよく見て詳しく描いていることと気持ちの表出がされていたことに驚きました。
どの子も入院と退院場面では全く違う顔を描き込んでいました。病院ではたくさんの我慢をしなくてはいけないと思い込んでいた緊張がほどけるきっかけにもなったようです。
これからも楽しみながら気持ちが表出できるツールとして使っていきたいです。
画像はオリジナル「病院ぬり絵」を子どもがぬった作品。