冬の足音が聞こえる季節の話

15分クッキング薬膳中華スープ3選

佐久本 恵 (国際中医薬膳士/「色彩学校」専任講師

『薬膳』すべての食材に効能があり、その時の体調に合わせて食材を選び体をととのえるやり方。
日々の食卓が『薬膳』になり、皆さんの健康につながりますように。

冬の体にシフトチェンジ
(へい)(ぞう)」のはなし

暦の上で立冬を迎え、日照時間が日に日に短くなり17時には外は暗くなるようになってきましたね。寒さはまだ厳しくなく、日中のぽかぽか小春日和が心を軽やかにしてくれるこの頃です。
今回は、「閉蔵(へいぞう)」という言葉についてのお話から始めたいと思います。

漢方の古い古典「黄帝内経(こうていないきょう)」には、「冬は草木が枯れ落ち、穀物は蔵の中にしまい込まれ、動物は冬ごもりするかのように、すべてが閉塞してエネルギーを外に出さないようにする」とあります。衣替えをして夏服から冬服にチェンジするように、体の中も冬の訪れと共に冬モードチェンジが行われ、“寒い季節は暖かい季節に比べて食べ物が少なくなるから溜め込もう”というスイッチが自然に入ります。
この、“冬は体に余分なものを溜め込みがち“というところを覚えておくと、体重管理や健康管理に役立ちます。食欲の秋に年末年始のホリデーシーズン……美味しい物に目移りする季節でもありますので、ハレの日とケの日を設けて過ごそう! と、記事を書きながら私も意識が高まっています(笑)。やせ型で体重が増えないとお困りの方は、夏の間に落としてしまった体重を、理想体重に近づけやすい時期という捉え方もできます。季節に連動した体の傾向を知ることが、皆さんの健康に繋がりますように。

生活に役立つ季節の食養生
【肺のケアで体のバリア機能アップ】

秋から初冬にかけて、中医学で気を付けたい体のケアは【肺】の管轄。中医学で指す肺とは呼吸だけでなく体液のバランスと皮膚の調整、発汗、体温調整などにも関与しています。肺が弱い人は乾燥に弱く、風邪をひきやすく、辛いもので咳込みやすく、便秘、むくみなどにもなりやすいところがあります。
そして、温度が下がり自然界の陽の気が落ちてくる中で、肺のエネルギーを補助して体のバリア機能を高めていくことは養生に繋がります。今の時期に積極的に献立に取り入れていただきたい食材のポイントは2つ。

【肺のケアに役立つ食材で潤いを補う】
えのき、れんこん、大根、玉ねぎ、ぎんなん、くるみ、しそ、しょうが

【肌の潤いに役立つ白い食べ物】
豆腐、豆乳、白菜、ジャガイモ、ゆり根、りんご、白ごま、ハト麦、松の実

スープは薬膳の基本。具を食べることが出来ないくらい体が弱っていても、スープのお汁をいただくことで栄養を取り込むことができるといった点や、あたたかなスープには具材の栄養が溶け出し、食すことで体が温まり、具材が煮込まれていることで消化を助けてくれ、血行もよくなる……と良いこといっぱいです。
材料がそろっていれば15分で作れる中華スープを3種ご紹介。

豆乳と白菜の
白い担々スープ

お肌の潤いに効果的

<材料>2人分
【具材】
豚ひき肉 200g
長ネギ 1/2本
白菜 1/6個
豆腐 1/2丁
【調味料】
ごま油 大1
オイスターソース 大1
豆板醤 小1
味噌 大1
すりごま 適量
ラー油 お好み
砂糖 お好み

【スープベース】
鶏ガラスープ(顆粒でOK)
無調整豆乳 200㎖
水 300㎖

  1. 長ネギみじん切り、白菜ざく切り、豆腐一口大に切る。
  2. 鍋にごま油ひき、豚ひきと長ネギを炒め、オイスターソースと豆板醤で味付け煮絡め、取り出す。
  3. 2の鍋に水、白菜、豆腐、鶏ガラスープ顆粒入れ煮立て火を通す。
  4. 豆乳と味噌、すりごまを加え、2の肉を戻し、好みで砂糖やラー油で調味で完成。

シャキシャキの噛み応えが
美味しいえのきの酸辣湯

カラ咳、痰の絡み、便秘の時にどうぞ

<材料>2人分
【具材】
えのき 1袋
豆腐 1/2個
卵 2個
青ネギ 適量
【調味料】
しょう油 小2
酒 大1
酢 大2
片栗粉 大1
胡椒・ラー油 お好み
【スープベース】
鶏ガラスープ顆粒 大2
和風出汁顆粒 大1
水 600㎖

  1. えのきの石づき落とし割く、豆腐一口大、青ネギを切り、卵を溶く
  2. 鍋にスープベース入れ、えのきも入れて火にかける。沸いたら豆腐を入れる。
  3. 豆腐に火が入ったら、しょう油、酒、酢を入れて、塩コショウで調味。
  4. 片栗粉でとろみをつけ、溶き卵を入れてゆっくりかき混ぜ、かき玉にする。
  5. 青ネギとラー油をかけて出来上がり。

鶏ガラスープ顆粒のところを、水から鶏むね肉やささみで入れて鶏だしスープを作り、鶏肉もスープと一緒にいただくと、たんぱく質アップ温め効果も上がります。
その時は、鶏だしが取れたら、鶏肉を一旦取り出し、食べやすい大きさにカット。作り方4。の段階で鍋に戻すのが美味しさのポイントです。鶏肉に火が入りすぎてパサつくのを防ぎます。

血を補い肺と腸を潤す
ちゃんぽんスープ

この1杯で野菜、肉、魚介の栄養をいただきます

<材料>2人分
【具材】
豚バラ薄切り 100g
キャベツ 1/4
もやし 1/2袋
人参 1/2本
ニラ 1/2袋
かまぼこ 20g
コーン 20g
【調味料】
ごま油 大1
オイスターソース 大1
胡椒 お好み
【スープベース】
鶏ガラスープ顆粒 大1
牛乳 200㎖
水 300㎖

  1. 豚バラ一口大、キャベツとニラざく切り、人参とかまぼこ短冊切りする。
  2. 鍋にごま油入れ豚肉を炒め、豚肉に火が通ったら人参・キャベツも加え炒める。
  3. 2の鍋に水と鶏ガラ顆粒入れて強火で煮立てる。
  4. 火を中火にし、牛乳、オイスターソース、ニラ、かまぼこを入れ、沸騰しすぎないよう火にかけ、胡椒で調味し完成。

▲先日、主宰する「こころねキッチン」にて韓国薬膳「サムゲタンの会」を開きました。丸鶏で作った参鶏湯は陽の気たっぷり。年間通じて老若男女に良い万能薬膳スープです。
次回は12月。冬の優しいごちそう薬膳の会を開きます。ご興味ある方お問い合わせください。info@ateliercocorone.com

佐久本 恵(さくもと めぐみ)
国際中医薬膳士/「色彩学校」専任講師

アートセラピーの現場で心の健康に携わり10年ほど経った頃、”体の不調は心の反映”という心身一如の観点に至る。そこから生活の中で出来るセルフメンテナンスとしての薬膳の勉強を始める。食へのこだわりは人一倍。美味しくて元気に繋がる日々のご飯を提案していきます。