末永蒼生の“クレヨン先生”通信~戦争はどうして起きるの?子どもと一緒に考えてみる絵本のご紹介~

こんにちは。子どものアトリエ・アートランド代表 末永 蒼生(すえなが たみお)です。
記録的な暑さで始まった今年の夏ですが、コロナや戦争など気になることが続きますね。どんなことも気になることがあれば、誰かと話し合うことで気持ちが楽になります。
そこで今回、みなさまにご紹介したい絵本があります。そのタイトルは『戦争が町にやってくる』(ブロンズ新社刊)。

「えっ、戦争の絵本を子どもに見せていいの?」と感じる方もあるかもしれません。じつは、この絵本は子ども向けに作られたとびきり大切な本なのです。というのは、共著の二人は現在戦争が起きているウクライナの作家で、ロマナ・ロマニーシンとアンドリー・レシヴというご夫婦なのです。彼らがこの絵本を作った動機は「親子で戦争について語り合ってほしいから」という切実な思いでした。きっかけは2014年にロシアがクリミアに侵攻し併合したことを目の当たりにしたことでした。当時まだ30歳だった彼らは翌年、2015年にこの絵本を出しました。戦争の恐ろしさ残酷さは、大人が勝手にはじめた殺し合いによって最初に子どもたちが犠牲になることです。抵抗することができない子どもたちは恐怖の中でただ身を震わせ傷ついていきます。

私は常々、戦争はどんな理由であれ大規模な児童虐待であると思っています。子どもを怯えさせる戦争について大人はきちんと説明をし、少しでも不安を取り除くべきだと思います。私たち身近な日本の子どもたちも、ニュースやネットの戦争報道でそれとなく不安や疑問を感じているのではないでしょうか。戦争を見ないふりをするのではなく、どうしたら平和な社会になるのか、戦争を起こさないためにはどう考えたらいいのか。

こういう話を家族や身近な人々と語り合うことは、いじめや暴力に走らないためにはどんな知恵が必要なのかを一緒に考えてみることに通じるいい機会かもしれません。絵本のどのページもその素晴らしい色彩を通して平和の大切さが心に染み込んできます。あらためて、絵本というものの素晴らしい力を感じました。実際の戦争の中に暮らす作者たちの平和への祈りが伝わってくるのです。この絵本は、日本版も含めすでに15言語に訳され世界中で読まれています。また、つい先日の日本テレビ「NEWS ZERO」ではウクライナとの中継で作者二人へのインタビューが報じられるなど反響が出ています。

絵本を読み戦争の中にある人々の苦しみを少しでも分かち合うことも、大きな支援であると思うのです。

  • アートランド会員の皆さまへ
    アトリエスペースにこの絵本が仲間入りしました。よろしければぜひ手にとってご覧いただければと思います。

2022年7月5日 子どものアトリエ・アートランド代表 末永蒼生
アートランド事務局

末永蒼生のエッセイ 「子どもたちは戦争をどう感じているのだろう」
〜絵本『戦争が町にやってくる』が開く対話〜


エッセイの中でこの絵本のことを紹介しています。ぜひご一読ください!>>>