末永蒼生の“クレヨン先生”通信〈親と子のための色彩心理入門〉色シリーズvol.7「オレンジ色」

【色シリーズvol.7】

先日、あるお母さまからこんなお話を聞きました。
「子どもが幼稚園に入ってから絵の中にオレンジ色がよく出てくるようになりました。
絵だけでなく、服の色もオレンジ色を好みます。何か心境の変化があるのでしょうか?」

気持ちが外へと向かい、輝きたい時

絵は言葉以上に気持ちを表現していることがあります。色の好みに気をつけていると子どもの気分がよく分かるものです。
オレンジ色は、赤と黄色の中間の色ですね。ということは、赤の気分と黄色の気分との両方の気持ちがそこにはあるのかもしれません。

赤は強く激しい感情に関係しています。一方、黄色は好奇心や欲求など外の世界への関心の高さを表すことがあります。ということは、オレンジ色は好奇心や欲求がかなり高まっているということなのです。
オレンジ色を好んで使う時は、ものごとに積極的な行動を示しているのかもしれませんね。それだけに自分の気持ちを受け取って欲しいという心の表現でもあるのでしょう。

今回のお子さんの場合は、幼稚園での集団生活と共に新しい体験が増え、自分を表現することを刺激されているのでしょう。やはり集団の中では「自分を輝かせたい!」という気持ちも育ってきますね。
この時期は、家の中でもこれまで以上に言動が強くなってくることもあります。時に持て余すこともあるでしょう。でも、これは自己主張をする練習の時期だと考えたらいいのです。集団生活には協調する能力と自分を堂々と伝える能力の双方のバランスが必要だからです。
この成長を助ける意味でも、しばらくはお家でも子どもの自己アピールを受け止めてあげるといいでしょう。
子どもの色の好みが変化したことに気づいたら、今までよりも成長を感じられるときかもしれませんね。

*4歳 女の子*
右側の手が羽根のように大きく広がりオレンジ色で塗られている。この時期、父親が病気で入院。母親もその看病で忙しく、寂しい日々でした。
羽根のような両手は、「お母さんのところに飛んでいきたい」というようにも見えます。大きなオレンジ色の羽根は「もっと私をかまって!」という欲求を伝えているかのようです。

「オレンジ色」が教えてくれる、“前向き”な気持ち

アトリエに慣れてきたBくん(7歳)。「いろいろなことをやってみたい!」と積極的に創作に取り組むようになってきた頃に描いたのは、空へと勢いよく飛び立っているオレンジ色の「ロケット」でした。

次にご紹介するのは86歳の女性が彩色したぬり絵です。「最近ぬり絵が楽しくなってきた。この日は久しぶりに塗り絵が出来て嬉しい!」という気持ちが、楽しそうなウサギを囲むオレンジ色からも感じられます。

*86歳 女性*

年齢も性別も関係なく、“前向き”な気持ちを感じている時はオレンジ色なのかもしれません。
もしも、前向きな気持ちや勇気を出したい時があれば、オレンジ色など明るい色を装いに加えることで、色のもつパワーをもらうことができそうですね。

*9際 女の子 「ママの誕生日プレゼント」*
ママへの愛が全面に溢れている

※今回ご紹介したオレンジ色の例は色彩心理の調査に基づいた要素と、カウンセラーとお子さんとの関りやお子さん自身の状態なども含めてご紹介しています。なにより選んだ本人にとっての意味が大切なので、色から心の動きを自由に想像してみることを楽しんでください。